ココロをこめて仕事をする
一年間「魂の小道具12選」にお付き合いいただきありがとうございました.
毎号の写真を見て現場で楽しげに仕事をしているのだろうと思われた読者様も多いと思う.しかし現場では写真のような顔をして仕事をしている.実は性格はマジメなのだ.
最終話はココロをこめて仕事をする,「至誠」について考えて見たい.
チェックリストから出るオーラ
どこの職場でもチェックリストが一つや二つはあるはずだ.ココロをこめて運用されているチェックリストは,至誠のオーラさえ感じさせる.
ある現場では設備の点検・メンテナンスのチェックリストが貼り出されている.
各点検項目に漏れなくレ点が入っている.班長は確認のレ点を入れサインがしてある.正しく運用されているように見えるが,現場を観察するといい加減さはすぐに分かってしまう.潤滑油点検の小窓が汚れ中が見えないのに,潤滑油OKのレ点が入っている.
チェックリストがココロをこめて運用されないのは,作業者や班長だけの責任だろうか?上位職者がココロをこめて指導していないからだと思う.班長に何を確認するのか教えているだろうか.チェックした事を確認せよ,と教えたのではレ点が埋まっていればOKと判断するだろう.
至誠・ココロの育成
従業員がココロをこめて仕事をするためには,指導者はココロをこめて彼らの育成をしなければならない.
仕事の成果を図のように仮定してみた.
つまり情熱と能力のある者は成果が最大になるが,考え方が間違っていると負の成果となる.
同様に組織の成果も目的意識がそろっている時に最大になる.目的意識が90度ずれていると,組織の成果には貢献しない.目的意識が180度ずれてしまえば組織の成果の足を引っ張ることになる.
ここの能力というのは業務能力のことであり,比較的簡単に教える事が出来る.
考え方,情熱,目的意識は行動能力に影響を与える.この部分が仕事に対する至誠だ.
指導者は組織の使命・目的を明らかにし,メンバーの目的意識を揃える.これで組織がたんなる集団から使命・目的を共有した強い軍団になる.そして至誠を養うために常にココロの育成をする.
品質改善・生産性改善の究極は「人質」だ.至誠・ココロの育成を基礎に人材の育成に取り組まれてはいかがだろうか.
このコラムは中国華南地区で発行されている月刊ビジネス雑誌「華南マンスリー」2008年4月号から1年間連載した「炎の小道具12選」に寄稿したものです.